ヒト用医療機器も動物用医療機器も医療機器とされていますが、動物にのみ用いられる医療機器は「動物用医療機器」として、人間に用いられる「医療機器」とは区別されています。
動物用医療機器とは
動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されることが目的とされている機械器具等 動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等 政令(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で定めるも |
動物用の医療機器を作る時にも、ヒト用の医療機器を作る時と同様に、薬機法上の許可が必要となります。
ヒト用と動物用では所轄庁が異なります。
ヒト用の 医療機器 | 厚生労働省 |
動物用医療機器 | 農林水産省 |
動物用医療機器の業許可と手続き
動物用医療機器の分類
ヒト用の医療機器はクラス1から4に分類されていますが、動物用の医療機器は、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器に分類されます。
分類 | 定義 | 例 | 医療機器登録方法 |
高度管理医療機器
(中・高・極めて 高い程度のリスク) |
副作用又は機能の障害が生じた場合において、動物の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、農林水産大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの | 人工心肺装置 人工腎臓装置 閉鎖循環式保育器 閉鎖循環式麻酔システム ペースメーカー |
承認申請が必要
申請先 農林水産省 動物医薬品検査所 |
管理医療機器
(低い~ 中程度のリスク) |
高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において動物の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なもの。 | 麻酔器 呼吸補助器 内臓機能代用器 |
承認申請が必要
申請先 農林水産省 動物医薬品検査所 |
一般医療機器
(極めて低い~ 低い程度のリスク) |
高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、動物の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの。 | 医療用消毒器 聴診器 体温計 手術台及び治療台 医療用照明器 医療用消毒器 医療用殺菌水装置 打診器 |
届出が必要
申請先 農林水産省 動物医薬品検査所 |
※人用医療機器と動物用医療機器ではクラス分類が異なる場合があります。
※「特定保守管理医療機器」は動物用については指定されたものはありません。
動物用医療機器製造業の登録要件
- 責任技術者の設置
医療機器の製造の責任者となる責任技術者を選任する必要があります。
資格要件 | |
高度管理医療機器 管理医療機器 |
① 大学等において、物理学、化学、生物学、工学(機械学、電気学、情報学、金属学その他工学の分野であって、医療機器の製造管理及び品質管理並びに製造販売後安全管理に関する業務の適正な実施に資すると認められるものに限る。)、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門の課程を修了した者 |
② 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校において、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門の課程を修了した後、医薬品若しくは再生医療等製品の品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務又は医療機器の製造管理若しくは品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者 | |
③ 農林水産大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者 | |
一般医療機器 | ① 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校において、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門の課程を修了した者 |
② 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校において、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品若しくは再生医療等製品の品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務又は医療機器の製造管理若しくは品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者 | |
③ 農林水産大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者 |
動物用医療機器製造販売業の許可要件
人的要件・・・下記の責任者を設置する必要があります。
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品質管理・製造販売後安全管理業務を総括する責任者 |
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製造管理及び品質管理に係る業務の責任者 |
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製造販売後の安全確保業務に係る責任者 |
■総括製造販売責任者の要件
資格要件 | |
第一種、二種 | ①大学等で、物理学、化学、生物学、工学(機械学、電気学、情報学、金属学その他工学の分野であって、医療機器の製造管理及び品質管理並びに製造販売後安全管理に関する業務の適正な実施に資すると認められるものに限る)、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門課程修了者 |
②旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門の課程を修了した後、医薬品若しくは再生医療等製品の品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務又は医療機器の製造管理若しくは品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者 | |
③農林水産大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者 | |
第三種 | ①旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校において、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する専門課程修了者 |
②旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校において、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学、歯学又は獣医学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品若しくは再生医療等製品の品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務又は医療機器の製造管理若しくは品質管理若しくは製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者 | |
③農林水産大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者 |
■品質保証責任者の要件
資格要件 | |
第一種 | ① 品質保証部門の責任者であること。 |
② 製造管理及び品質管理に係る業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。 | |
③ 製造管理及び品質管理に係る業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。 | |
④ 製造管理及び品質管理に係る業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。 | |
第二種、第三種 | ① 品質保証部門の責任者であること。 |
② 製造管理及び品質管理に係る業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。 | |
③ 製造管理及び品質管理に係る業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。 |
■安全管理責任者の要件
資格要件 | |
第一種 | ① 安全管理統括部門の責任者であること。 |
② 安全確保業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。 | |
③ 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。 | |
④ 安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること | |
第二種、第三種 | ① 安全管理統括部門の責任者であること。 |
② 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること | |
③ 安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。 |
動物用医療機器販売業・貸与業の許可要件
- 営業所管理者の設置
① 動物用医療機器の販売又は貸与に関する業務に3年以上従事した者 |
② 医師・歯科医師・獣医師又は薬剤師の資格を有する者 |
③ 動物用医薬品薬種商販売業の許可を受けた店舗における許可申請者又は当該店舗における適格者 |
④ 第1種又は第2種動物用医療機器製造販売業の医療機器等総括製造販売責任者の資格を有する者 |
⑤ 動物用医療機器(一般医療機器を除く。)製造業の医療機器責任技術者の資格を有する者 |
⑥ 動物用医療機器修理業の医療機器修理責任技術者の資格を有する者・動物用医療機器の修理に関する業務に3年以上従事した者 |
⑦ ヒト用医療機器(一般医療機器を除く)販売・貸与業の営業所管理者の資格を有する者
・ 高度管理医療機器等(指定視力補正用レンズのみを除く。)の販売又は貸与に関する業務に3年以上従事した後、基礎講習を修了した者 ・ 高度管理医療機器等(指定視力補正用レンズのみ。)の販売又は貸与に関する業 務に1年以上従事した後、基礎講習を修了した者 ・ 第1種又は第2種医療機器製造販売業の医療機器等総括製造販売責任者の資格を有する者 ・ 医療機器(一般医療機器を除く)製造業の医療機器責任技術者の資格を有する者 ・ 医療機器修理業の医療機器修理責任技術者の要件を満たす者 ・ 医薬品薬種商販売業の許可を受けた店舗における許可申請者又は当該店舗における適格者 ・ 財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した、医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者 ・ 特定管理医療機器を取扱う営業所の管理者 ※動物用管理医療機器販売・貸与業の管理医療機器営業所管理者に限る |
動物用医療機器修理業の許可要件
- 事業所及び修理作業所の構造設備が「動物用医薬品製造所等構造設備基準」に適合すること
- 「責任技術者」の設置・・医療機器の修理に関する業務に3年以上従事した者
(ヒト用医療機器修理業では講習会に参加することが求められていますが、動物用では求めていません。)
動物用医療機器製造販売業のGQP体制省令
(品質保証部門について)
- 医療機器等総括製造販売責任者の監督の下にあること。
- 品質保証部門における業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する人員を十分に有すること。
- 品質管理及び製造管理に係る業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼす部門から独立していること。
(製造管理及び品質管理に係る業務の責任者の設置)
- 品質保証部門の責任者であること。
- 製造管理及び品質管理に係る業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。
- 製造管理及び品質管理に係る業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。
- 製造管理及び品質管理に係る業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。
(文書及び記録の管理に関する体制を整える)
- 製造管理及び品質管理に係る業務に従事する者の責務及び管理体制を文書により適正に定め、この文書を省令に規定する事項に従い管理しなければならない。
- 文書を作成し、又は改訂したときは当該文書の承認、配布、保存等を行っているか。